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舞台芸術研究センターでは、ダンサー・コレオグラファーで主任研究員(本学教授)の山田せつ子を中心に、フランスの作家ジャン・ジュネ(1910−86)の後期作品に基づくダンス公演『恋する虜』に向けて、「創作」と「研究」が緊密に結合した共同プロジェクトを展開しています。単に物語を素材や口実にしてダンス作品をつくるのではなく、ジュネの言葉からどんな身体性や思考の運動を読み取ることができるのか、そしてそれを現在の私たちが置かれている社会的、歴史的、政治的な状況へとどう結びつけていくことができるのかを実践的に模索し、アクチュアルな考察と問いかけを通して、現代におけるダンス表現の根源的な可能性を見出していこうとする試みです。
今回の公開セミナーでは、これまでの研究会やリハーサルの成果をふまえ、2008年春に予定している本公演、2007年3月開催のワーク・イン・プログレス公演に先立って、出演予定のダンサー、スタッフによるデモンストレーション、研究者を交えたシンポジウムを行い、ジュネの作品におけるイメージと身体の関係、ジュネが日本の〈舞踏〉に与えた影響とその意味、ジュネとパレスチナとの関わりを通した「政治と芸術」の問題などについて考察するとともに、観客の皆さんの視線や意見に触れることでこのプロジェクトの意義と方向性を改めて検証します。
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岩下徹 (photo:池上直哉) |
砂連尾理 (photo:平野愛) |
白井剛 (photo:斉藤巧一郎 /TCA) |
寺田みさこ (photo:塚田洋一) |
山田せつ子 (photo:阿倍綾子) |
ジャン・ジュネの『恋する虜』も『アルベルト・ジャコメッテイのアトリエ』もダンスする身体の知覚を作動させる魅力に満ちている。しかし、その書物はいまだ空中に浮かんだまま私のからだを見下ろしている。言葉が身体に降りてくるのか、身体が言葉を抱きにいくのか。危うく、深い迷路に入りこみそうなジュネの世界を裏返し、折りたたみ、結び合わせる時間が始まったところだ。異なった視点を持ちつつもジュネの振動に共振する人々の新しい地図が書かれはじめている。公開リハーサルを持つことはこの地図の広がりを、エニシダ(ジュネ)のように見ていこうということでもある。
― 山田せつ子
ジャン・ジュネ Jean GENET(1910.12.19〜1986.4.15)
パリで生まれ、7歳で母親に遺棄される。父は不詳。国境を越えて転々と放浪しながら窃盗などの罪を重ね、在監中に詩集『死刑囚』(1942)を出版。以後『花のノートルダム』『薔薇の奇蹟』『葬儀』『泥棒日記』など、犯罪者や同性愛者の立場を公然と引き受けた小説群により、コクトー、サルトルらの称賛を受け作家としての名声を獲得。6年間の沈黙の後、1955年から戯曲『黒んぼたち』『バルコン』『屏風』などを発表し、その後の前衛劇の展開に大きな影響を与える。1968年以降はアメリカ黒人解放闘争、パレスチナ解放闘争などに加担しながら特異な政治的ルポタージュを発表。パレスチナ滞在期の追憶を中心とする長編回想記『恋する虜』が絶筆となった。
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